クリスチャン・ラッセンはハワイ在中のマリン・アーティストとして有名です。

一昔前にはよく日本のテレビ番組にも出ていましたし、来日して原画展なども多く開催されていました。

そんなラッセンの作品はマリン・アーティストの名の通り、海やイルカ、クジラや熱帯魚など、海に関連したものが多いのですが、最近は海とはまた違った絵も描くようになりました。

その中で個人的にかなり強いインパクトがあったのが「マジェスティⅢ」という絵です。

深い青で描かれた森の湖を背景に雄々しくも穏やかな表情を湛えた雄ライオンの横顔が印象的なこの絵は、私の中のラッセンのイメージを一気に変えてしまった一枚でした。

それまではどこかファンタジックで観ているだけで癒される、どちらかと言えば幻想的で美しく、楽しいイメージがあったのですが、この「マジェスティⅢ」はそのどれをも削ぎ落し、リアルで静かな、ともすれば物悲しささえ覚えるような絵だったからです。

「イルカ以外も描くんだ」という驚きも相まって強烈な印象が残りました。

その後いろいろと調べてみると、近年、ラッセンはマリンアートだけではなく様々なものを題材とした作品を制作している事を知りました。

鶴と富士が美しい「マウントフジ」や珍しく人間を描き、水面に映る鷲とその水面を挟んで立つ人物が持つ羽根が神秘的な「イーグル・スピリット」など、どれも美麗で迫力のあり、一瞬にして人を引き付ける魅力がある絵が沢山ありました。

ラッセンを「イルカと海の人」という認識は改めなくてはいけませんね。

作風の幅を広げ、ますます活躍が期待されるラッセン。

また個展があれば観に行ってみようと思います。